アメリカ留学体験談

アメリカ留学体験談

僕が留学に興味を持ち始めたのは中学二年生の頃です。小学生の頃から姉たちの影響で海外や洋楽が大好きでアメリカの文化にもいつもひかれていました。海外にはどんなライフスタイルがあるのかを自分の目で確かめてみたいとずっと考えていました。アメリカに行った先輩から話を聞いて、僕も自分の力を試してみたいと思ったのがきっかけでした。
英会話教室の先生がテキサス州出身だったこともあり、アメリカに興味を持ちました。アメリカの文化に触れるたびに興味が憧れに変わり、いつか本土に行こうと決めていました。姉たちが本土に留学していたのを見て、さらに憧れの気持ちが強まりました。
出発前の準備として、英語の勉強はもちろんしていましたが、留学が決まってからは、聞き取りの力や自分で説明する力に集中して取り組みました。聞いたことがらを理解し、自分の意思を言葉にできるように勉強しました。

それでも、現地到着後すぐは英語で意思疎通をすることは大変でした。でもそんな苦労も楽しみの一つと思えるくらい毎日が充実していました。最初は発音が全く通用せずとても大変でしたが、友だちに発音の仕方や意味のわからない単語について教えてもらうなどして対処しました。

受入先の学校では、数学と英語とアメリカ史は必修科目でしたが、自分の受けたい授業をいくつか選択することができました。どのクラスもすごく楽しく、すぐに溶け込むことができ、たくさん友だちを作ることができました。特にアメリカ史の授業は仲の良いメンバーが集まっていたので、課題を助け合ったり、勉強のコツを教えあったりしました。様々な人たちと仲良くしているうちに、いつの間にか校内を歩いていればだいたい皆が友だち、みたいな感じになっていました。
学校生活の中でも、1番の思い出はやはりサッカーシーズンです。チームの仲間一人一人と絆を深めることができたこと、人種や国籍に関係なく、目的に向かって皆で力を合わせた経験から、スポーツに国境はないことを実感しました。公式試合で得点をしたとき、アメリカの仲間と一緒に盛り上がった経験は忘れられません。映画でしか見たことのなかった光景を、実際に経験することができました。
留学を振り返って思うこと、それはなによりも留学をさせてくれた親に感謝しています。視野が広くなり、より柔軟に物事を考えられるようになりました。日本から離れてみないとわからない日本の魅力にも気づくことができました。現地の人から見て魅力的な日本の姿は、私たち日本人からみるとごく当たり前のことに見え、今まで気づくことができませんでした。日本人であること、今まで気づかなかった日本文化のすばらしさに誇りを感じるようになりました。

留学に行くと確実に人生が変わります。僕は考え方がガラッと変わりました。日本を外から俯瞰する経験は今までの価値観や人生観に影響を与えます。留学先で新しいことに立ち向かう経験、異なる文化に触れて適応しようと葛藤する経験は、生きる力につながり、これから様々な価値観の人と関わる際、必ず役に立つはずです。

アメリカ留学体験談

今、社会に必要とされている人は、以下2つのスキルを備えた人物だと思います。

1つめは、語学力のみならず心理的ハードルも含めて、広い意味で言語の障壁なく、自分の想いや考えを発信できる力です。言語は、あくまで自分の気持ちを伝える際の手段・方法にしか過ぎません。話し相手が日本人であれ外国人であれ、自分の言葉で、相手に臆せずに想いや考えを発信できることが最大の武器になります。

留学当初、当時の私も英語力向上を目標に掲げていました。しかし、米国での留学生活を通じ、拙い英語でも相手に想いが届く場面(ホストファミリーとの別れや、寮のルームメイトとの喧嘩、全校生徒の前で実施したプレゼンテーション等)を幾度となく経験します。次第に、言語はあくまで意志疎通の手段であって、英語という言語を流暢に喋ること自体が目的ではなく、肝心なことは、「自分の言葉で、相手に何を伝えられるのか」という点だと気付きました。
社会に出た現在、私は街を構成する様々な不動産を幅広く手掛け、それらを開発したり、複合的に組み合わせることを通して、総合的な”街づくり”に携わっています。海外の建築デザイナーやビジネスマンと相対し、英語で直接交渉をする場面が度々あります。そういった場面で常に大切にしていることは、ネイティブスピーカー顔負けの英語を披露することではなく(もちろん流暢な英語は武器になりますが)、通訳を介さなくても、相手に対して自分の言葉で自分の考えを直接発信することです。これから社会で活躍していく皆さんには、貴重な留学生活を通じて、英語を武器として使いこなすと同時に、相手がどの国の誰であっても臆することなく、堂々と立ち振る舞うことのできる精神力と発信力が求められていると感じます。
2つめのスキルは、世界基準で「日本」を理解できること、ひいては俯瞰的に物事を考える力です。今、社会は、全領域において想像を超えるスピードでボーダーレス化が進んでおり、日本だけで完結するビジネスは極めて少なくなっていると実感しています。一方で、今後いくらグローバル化が進んでも、自分の出生地やルーツは変わりません。
私自身、留学を経験して初めて、海外の人が「日本」に興味を持っていることを知った反面、自分がいかに「日本」を知らず、世界からこの国がどう見られているかに無頓着であったかを反省しました。「日本」に興味津々の友人達から質問を受ける度に、満足に答えることのできない自分に対して、悔しい思いもしました。歴史、地理、産業、政治、スポーツなどジャンルを挙げ出すときりがありませんが、あなたは、どれくらい「日本」について知っていますか。ひとたび日本を出ると、あなたは海外現地の人にとっては外国人であり、「日本」のフィルターを通して、自分を知ってもらうことになります。世界の物差しで「日本」を深く理解することは、自分に対する周りの理解を助け、ひいては俯瞰的に物事を考える力を養うでしょう。
最後になりますが、社会で働く私もまた、上記2つのスキルを引き続き磨いている最中です。いつか、留学生活を経た皆さんと社会でお会いできることを楽しみにしています。